インド最北のジャム・カシミール州ラダック地方はヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に挟まれており壮大な大自然が残されており、かつては交易路として山々を通っていた道は現代では外国人観光客にトレッキングルートとして人気を集めています。今回はリキル村からヤンタン村、ヘミス・スクパチャン村を経由してテミスガム村までシャム・バレーのトレッキングに挑戦します。シャム・バレーのトレッキングはラダック地方のトレッキングでは難易度が低いとされており初心者が軽装で走破できるのでベビー・トレッキング、シャム・トレッキングとも呼ばれております。
シャム・トレッキングの費用は?
一般的にシャム・トレッキングは旅行代理店で申し込んで、レーからスタート地点の車、ゴール地点からレーまでの車、ガイド、宿泊先、食事まで手配という流れになっています。私は何軒かのレーの旅行代理店でシャム・トレッキングの見積もりをもらったのですが、相場は1人14600~15500ルピーという感じでした。ある旅行代理店の見積もりの内訳は以下のようになります。
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
ガイド | 5200ルピー | 1日1300ルピー×4 |
宿泊費 | 3600ルピー | 1泊1200ルピー×3 (朝夕食・弁当込み) |
タクシー | 1780ルピー | レー→リキル |
タクシー | 3800ルピー | テミスガム→レー |
チップ | 500ルピー | – |
合計 | 14800ルピー | 1ルピー≒1.6円 円換算:23680円 |
今回のアジアバックパッカートラベルでは、シャム・トレッキングはレーからバスでリキル村へ移動、リキル村からテミスガム村まで徒歩で移動、テミスガム村からバスでレーまで戻るという自力でのトレッキングになります。実際にかかった費用は以下の通りになります。
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
宿泊費 | 1200ルピー | (朝夕食・弁当付) |
宿泊費 | 1200ルピー | (朝夕食) |
宿泊費 | 1000ルピー | (朝夕食) |
バス | 90ルピー | レー→リキル |
バス | 140ルピー | テミスガム→レー |
合計 | 3630ルピー | 1ルピー≒1.6円 円換算:5808円 |
*ルートは実際にGPSで収集したデータを使用しています。
自力のシャム・トレッキングは事前準備をしっかり
旅行代理店に申し込まず自力でシャム・トレッキングに行った場合は11000ルピーは安く済みましたが、自力のシャム・トレッキングはガイド無しですので事前にトレッキングコースの地図やGPSデータを入手しておく必要があります。Google MapsやMAPS.MEだけですと情報不足ですので、私はインターネットで入手したシャム・トレッキングのGPSデータのGPXファイルをGPSに入れてシャム・トレッキングに挑戦しました。
3泊4日でバスと徒歩だけでシャム・トレッキング
1日目の旅程
レー(Leh)3500m 出発
シャムトレッキング スタート地点 3500m
フォベ・ラ(Phobe La)3600m
Saspochey村 壊れた橋 3460m
チャガツェ・ラ(Chagatse La)3735m
ヤンタン(Yangthang)3660m 到着
*ルートは実際にGPSで収集したデータを使用しています。
シャムトレッキング(レー→リキル→ヤンタン).gpx
シャムトレッキング(レー→リキル→ヤンタン).kml
レーからバスでリキル村に移動
、レーのバスターミナルNEW BUS STANDにやってきました。
このアルチ行きのバスに乗車してリキル村で途中下車します。
、アルチ行きのバスが出発します。レーからリキルまでの運賃は90ルピーになります。途中、インダス川とザンスカール川の合流地点で乗客の乗り降りがあり停車、インダス川とザンスカール川の合流地点を撮影しておきます。
リキル村が近くなってきた所でドライバーさんがリキルで下車する乗客がいるか確認してきます。リキル村やリキル・ゴンパへ行く乗客がいないと村に寄らずアルチに行ってしまいますので「Likir Village!Sham Valley!」と言って下車する乗客がいることを伝えます。「Likir」だけだとリキル・ゴンパの分かれ道で降ろされますので「Likir Village!Sham Valley!」と言って村の中で降ろしてもらいます。
トレッキング1日目リキル~ヤンタン
、リキル村でバスを降ります。アルチ行きのバスが来た道を戻っていきます。今回のシャム・トレッキングでは荷物の総重量は27kgになります。内訳はバックパック15kg、デイバッグ10kg、ペプシ2Lです。27kgの重量が肩に喰い込みます。
リキル村の中にはゲストハウスがありシャム・トレッキングでの宿泊地になっています。
リキル村の中を歩いてマニ石が積まれたマニ塚までやってきました。ここがリキル村からのシャム・トレッキングのスタート地点になります。リキル・ゴンパをスタート地点にしている旅行代理店もありますので、リキルでのシャム・トレッキングのスタート地点は2カ所になります。標識が出ていないので事前に調べていないと見落とす可能性があります。
、谷を下ります。リキル村の西側に向かいます。
、谷底のリキル川に架かる橋を渡ります。リキル川の上流にはリキル・ゴンパがあります。
、谷を登り切るとチベット仏教の仏塔チョルテンがあり、その下を通っていきます。
、リキル村を出ます。村の出口付近には小さなチョルテンが並んでいます。
村を出ると岩に案内が書かれておりトレッキングルートというのが分かります。
後方から来たガイド付き欧米人グループに追い抜かれます。欧米人グループは軽装なので歩くのが楽そうです。私は荷物を27kg全部持ってきているので重くて歩く速度はゆっくりです。他のトレッカーたちも軽装が多く中にはペットボトル1本だけという、ほぼ手ぶらのトレッカーもいました。シャムトレッキングはそれだけお手軽にできる初心者コースという事です。
トレッキングルートは特に道が整備されているという事はなく複数の地元民用の道が通っており前を歩いているトレッカーの後をついていくという感じで進んでいきます。私はMAPS.MEとGPSを確認しながら進んでいきます。道が整備されていなくても電柱があり電線が伸びているので、これを辿っていけば次に村に行けます。
標高3600mの峠フォベ・ラ(Phobe La)
、標高3600mの峠フォベ・ラ(Phobe La)に到着、峠にはチベット仏教のタルチョが掲げられており
このシャム・トレッキングのコースなのですが、実は近くを未舗装道路が平行して整備されており、トレッキングコースが未舗装道路に合流している部分もあります。距離は多少長くなりますが高低差や傾斜の少ない未舗装道路を行くという選択肢もあります。観光客を乗せた車が峠のフォベ・ラを越えてヤンタン村へ向かっていたりもします。
峠から後ろを振り返るとリキル村が見えています。乾燥地帯の中に樹木が生えている所がリキル村です。砂漠のオアシスみたいな存在です。
ガイドに連れられて欧米人グループが峠を下っていきます。私は峠で少し休憩です。
休憩を終えてヤンタン村へ向かいます。
、リキル村とヤンタン村の中間にあるSaspochey村の南外れに到着します。川が流れており樹木が多いです。MAPS.MEで確認しながらトレッキングルートを進みます。
、標高3460mの谷底の川に架かる橋に到着するが一部が崩落しています。合計27kgの荷物を抱えたり背負ったままだと渡れません。今回は運良く先に橋を渡っていた白人さんたちの協力で荷物を分散して渡ることが出来ました。
村を抜けると樹木はなくなり再び荒涼とした乾燥地帯に変わります。トレッキングコースになっていますが携帯電話会社BSNLの回線も埋設されております。何も無いトレッキングコースですが、このBSNLの標識を辿っていけば集落や道路に出るということです。
前方には先程壊れた橋を渡るのを手伝ってくれた白人さんたちが歩いています。
標高3735mの峠チャガツェ・ラ(Chagatse La)
、標高3735mの峠チャガツェ・ラ(Chagatse La)に到着、本日の目的地ヤンタン村まで約2kmの距離まで来ました。ここは富士山山頂より40mほど低い場所になります。峠なのですがチョルテンやマニ塚は無く電柱にチベット仏教の祈祷旗タルチョが付けられています。
峠のチャガツェ・ラからトレッキングルートは車道と一緒になりヤンタン村に続いています。車道は舗装道路なので歩きやすくなっています。
チャガツェ・ラからは遠くにヤンタン村が見えています。
1日目宿泊地ヤンタン村
、標高3690mのヤンタン村入口に到着、ホームステイやゲストハウスの案内標識が出ています。
村の中に向かい本日の宿を探します。
、標高3650mのヤンタン村(Yangthang)中心部に到着、ゲストハウスやホームステイが5軒ほど集まっている区画になります。レーの旅行代理店でシャム・トレッキングの見積もりをしてもらった時に宿泊費は1泊1200ルピーという話だったので、これを基準に探してみます。まずは中心部の入口にあったTONGSPON HOME STAYで部屋を見せてもらいます。
ダブルルームでトイレ・水シャワー共用、朝夕食、弁当付で1泊1200ルピー(1920円)、電気は昼間でも使用可能、水道は雪解け水を引いています。特に問題ないのでヤンタン村での宿は1軒目で決定です。
このヤンタン村は携帯電話は基地局がないので一切使えません。ラダック地方で一番サービス範囲の広いBSNLでも通信ケーブルは村を通っているのですが基地局が設置されていないので駄目です。電気はリキル村からヤンタン村まで送電線が通っており外部から昼夜問わず電力供給がされており電力事情は良好なようです。
宿は確保したのでヤンタン村を探検してみます。まずはホームステイやゲストハウスが集まる村の中心を見て回ります。路地を進んでいくと村の中心部に小さなゴンパがあります。
閉まっていて内部は拝観できませんでしたがマニ車を回してゴンパをコルラできます。
続いて村の北側に向かいます。村の北側には麦畑が広がっており青々と実っております。
麦畑を抜けて村の北側に出るとリキル村からヘミス・スクパチャン村へと続く道が通っております。
続いて村の南側に行ってみます。ヤンタン村は山に囲まれており村の南に渓谷が延びており、ヤンタン村から南に渓谷沿いの道を下っていくとチベット仏教寺院のリゾン・ゴンパ近くに出られます。
、夕食にダル・チキン・ライスを美味しく頂きます。今までラダックで夕食込みのホームステイやゲストハウスで肉入りの食事はなかったので、これはかなり驚きです。1泊1200ルピーもしますので夕食は鶏肉入りで質重視ということでしょうか?私としては質より量でダルとライスが多ければ肉無しでも問題ないのですが。
、外で星空撮影です。天の川がよく見えます。
なかなか見る機会のない星空をしばらく眺めています。
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
宿泊費 | 1200ルピー | – |
バス | 90ルピー | レー→リキル |
合計 | 1290ルピー | 1ルピー≒1.6円 円換算:2064円 |