ウクライナ西部のリヴィウは世界遺産の街として有名ですが、今回はリヴィウの南西にあるドロホブィチ(Дрогóбич / Drohobych)と呼ばれる小さな町まで足を延ばします。このドロホブィチには世界遺産の教会があります。
リヴィウ駅でオンライン予約したきっぷを発券する
、9番のトラムに乗車してリヴィウ駅へ向かいます。トラムのチケットは以前買いだめしてあるのでそれを使用します。
、リヴィウ駅に到着です。
まずはきっぷ売り場で昨晩オンライン予約したドロホブィチ行きのきっぷを受け取ります。
ドロホブィチ行きのきっぷはバーコードのオーダーフォームでしたのできっぷ売り場で発券となります。きっぷ売り場のお姉さんにスマートフォンに保存しておいたオーダーフォームを見せて聞いてみると端末にオーダーフォームの番号を入力して発券してくれました。予約時に決済済みですのできっぷ売り場では発券のみになります。
ウクライナ鉄道のオンライン予約のきっぷはボーディングパスとオーダーフォームの2種類があります。インターネットでのオンライン予約時に受け取ったpdfファイルがQRコード付きのボーディングパスならきっぷとして有効なのでそのまま乗車できるのですが、受け取ったpdfファイルがQRコード付きのボーディングパスで無く、バーコード付きのオーダーフォームの場合だと、きっぷとしてまだ有効でなくきっぷ売り場で発券してもらう必要があるのです。
今回はリヴィウからドロホブィチの行き帰りのきっぷをインターネットのオンライン予約で購入したのですが、なぜか行きだけが窓口発券が必要なオーダーフォームでした。オーダーフォームになる条件は不明です。
列車番号 | 41 П |
乗車駅 | リヴィウ(Lviv) |
到着駅 | ドロホブィチ(Drohobych) |
発車時刻 | 08:59 |
到着時刻 | 10:30 |
運賃 | 27.13フリヴニャ(114円) |
今回は3等寝台ですが座席車として利用しますのでオンライン予約時にリネン類(枕カバー、シーツなど)の項目のチェックを全て外しており、きっぷは最低運賃のみで27.13フリヴニャ(114円)になり、大阪環状線の初乗り運賃120円より安いです。リヴィウからドロホブィチまでは直線距離で約63kmありますので、いかに運賃が安いかが分かるかと思います。
ウクライナの寝台列車のきっぷはオンライン予約時にリネン類(枕カバー、シーツなど)を付ける付けないが選択できるのが特徴です。寝台列車でもリネン類(枕カバー、シーツなど)を外せば座席だけの運賃になるのです。飛行機のLCCに似て必要なサービスを追加する方式になっています。
時間まで駅の待合室で待ちますが、待合室には売店がありビールが販売されています。ウクライナの法律では屋外での飲酒が禁止されており、外ではレストラン、バーぐらいでしか飲酒ができません。リヴィウ駅の売店はテーブルが設置されておりビールの立ち飲みが可能です。ただし、ビールは500mlが最低20フリヴニャでしたのでスーパーマーケットの2倍程度になります。高い分は立ち飲みの場所代ということのようで酒好きには外での貴重な酒飲みの場所です。
寝台列車でリヴィウからドロホブィチまで移動する
、定刻通りに列車の到着です。
多くの乗客がリヴィウで下車していきます。下車する乗客は見た感じですと観光客が多いようですが、私にはウクライナ人とポーランドなどの外国人観光客との見分けができないので外国人の割合は不明です。
ホームを歩いて先頭車両へ向かいます。先頭の機関車まで来ました。駅のホームがカーブしており良いアングルで撮影できますのでリヴィウ駅は撮影に適していると言えます。
機関車の撮影を終えて乗車する車両を探します。ウクライナの鉄道は行先標のサボは無く、代わりに乗務員室に案内板が掲げられています。これを見て自分が乗車する車両を探します。
発車時刻が近くなってきましたので乗車します。ウクライナ鉄道は駅での改札がありませんので乗車時に乗務員さんにきっぷを提示します。この時にきっぷが回収されてしまいますので座席番号を覚えていない場合は事前にきっぷの写真を撮っておくのが便利です。きっぷは下車時に返却される事になっていますが言わないとまず返却されません。
車両は古いですが3等寝台で2段ベッドになります。ウクライナの3等寝台の特徴は線路幅が広く車両が大きいのでインドの寝台列車のように通路側にも寝台があることです。ただし、インドのように限界まで乗客を詰め込む3段ベッドは無く余裕のある2段ベッドで構成されています。
そして、寝台は折り畳み式になっており昼間は上段ベッドを折り畳み下段ベッドを座席として利用します。天井部分は荷物収納スペースになります。下段ベッドの下は荷物置き場にもなっております。ベッドで蓋をしますので乗客自身が寝ている間は盗難の心配が無く安心です。トイレなどで席を外しているときだけ注意が必要です。
通路側の下段ベッドは折り畳むとテーブルにもなります。日本のB寝台との違いは寝台が折り畳み式で昼間は座席として利用し、通路側にも寝台があるという部分になります。
08:59、定刻通りにリヴィウ駅を発車します。ドロホブィチまでは約1時間半の道のりになります。ほとんどの乗客がリヴィウで下車しており、この車両は私を含めて乗客は5名のみです。
車内探検でトイレにやってきました。旧型車両ですのでトイレは線路への垂れ流し式になり駅停車時には鍵が掛けられ使用不可になります。
ドロホブィチに到着
、ドロホブィチに到着です。下車時に乗務員さんからきっぷの返却がありました。降りた所はホームが無く線路です。
線路脇を歩いていくと駅舎が見えてきました。ドロホブィチでは世界遺産の聖ゲオルギオス聖堂を見学するのですが、帰りの列車は13:03到着、13:29発車ですので、13:00までには駅に戻ってこないといけません。13:29の列車を逃すとリヴィウ行きの次の列車は20時台まで待つことになってしまいます。
ドロホブィチ駅を出て駅前から路線バスに乗車して街の中心部へ移動します。駅前から2番のバスに乗車してドロホブィチの中心部へ向かいます。運賃は4フリヴニャになり乗車時に支払います。全区間均一料金でチケットは特にありませんでした。
、終点に到着です。広場があり、ここがドロホブィチの中心部になるようです。
ドロホブィチは小さな街なのですが中心部に銀行、両替所、スーパーマーケットなどが揃っています。両替所はドル、ユーロ、ルーブル、ポーランドズロチが取り扱い通貨のようです。
世界遺産ドロホブィチの聖ゲオルギオス聖堂
、グーグルマップを頼りに歩いていくと木造の教会が見えてきました。ドロホブィチの聖ゲオルギオス聖堂(St. George’s Church, Drohobych)に到着です。周囲に案内の看板が出ていないのと聖堂がウクライナの教会にしてはかなり地味なので事前に調べていないと気付かずに見落としてしまいます。この聖ゲオルギオス聖堂が2013年に「ポーランドとウクライナのカルパティア地方の木造教会群」として世界遺産に登録された16の教会のひとつになります。
入口に料金表があり入場料30フリヴニャ、撮影料20フリヴニャになります。チケットは聖堂の中で購入しますが入場券だけもらえて撮影の許可証とかは特に発行されません。観光客は誰もおらず世界遺産を私だけの貸切状態です。
聖ゲオルギオス聖堂は1678年から1711年に建設された木造教会になります。現在は教会としては使用されておらず博物館として公開されております。
聖堂内部は壁や天井に多くの壁画が描かれており、静寂の中に独特の雰囲気が漂います。
正面上にあるキリスト肖像画の両脇には12人の弟子の肖像画があります。
最後の晩餐など聖書に登場する場面が描かれています。
聖堂に描かれた宗教画の数々はじっくりと時間を掛けて見る価値があります。聖堂を出ると入れ替わりでドイツ人のツアー客がガイドに連れられやって来ました。世界遺産ということだけあってツアーでも訪れるような有名観光地のようです。
ドロホブィチを街歩き
、ドロホブィチ中心部に戻ってきました。まだ時間に余裕がありますので街歩きして見て回ります。まずはSt. Bartholomew Churchから見ていきます。14世紀から16世紀にかけて建設された聖堂で現在の建物は新しい時代の物のようです。聖堂の隣りにあるのが鐘楼になります。
St. Bartholomew Churchの隣りにあるのがドロホブィチの偉人Yuriy Drohobychの像です。Yuriy Drohobychは15世紀の作家、医者、天文学者、科学者として知られる人物です。
、Church of the Holy Trinityにやって来ました。ちょうど内部では昼のミサが行われておりました。ドロホブィチは町の中心にいくつもの教会があり、ミサの時間は教会によって違います。ミサの時間を別々にすることによって教会をハシゴする人もいるのでしょうか?
こちらがドロホブィチ中心部の町役場(Town Hall)になります。
、ドロホブィチ中心部の広場に戻り2番のバスに乗車します。運賃は4フリヴニャになります。
寝台列車でドロホブィチからリヴィウへ戻る
、ドロホブィチ駅に戻ってきました。
駅の待合室で列車の到着を待ちます。
列車番号 | 42 Л |
乗車駅 | ドロホブィチ(Drohobych) |
到着駅 | リヴィウ(Lviv) |
発車時刻 | 13:29 |
到着時刻 | 14:57 |
運賃 | 29.85フリヴニャ(125円) |
、13:29発車のリヴィウへ戻る列車が来ました。ドロホブィチは駅舎の規模は小さくホームも短い田舎の駅なのですが方向転換で機関車交換作業が行われる重要な駅です。ちょうど機関車の交換作業をやっていましたので撮影しておきます。
撮影を終えて乗車する車両へ向かいますが先頭の機関車から19号車までかなり歩きます。
どうやらこの列車は20両編成で湘南新宿ラインの15両編成を軽く越える長さです。
ようやく19号車まで来ました。乗車口でスマートフォンに保存しておいたきっぷのpdfファイルを乗務員さんに見せて乗車します。
車両は3等寝台ですがきっぷのオンライン予約時にリネン類(枕カバー、シーツなど)は全て外して座席として利用する最低限の運賃のみで29.85フリヴニャ(125円)になります。行きは27.13フリヴニャ(114円)だったのですが帰りは少し高くなっています。それでも大阪環状線の初乗り運賃120円からほんの少し高いだけです。
ウクライナ鉄道のきっぷは運賃設定が特殊なようで同じ列車でも購入日によって違ったり、同じ区間、同じ種類の列車の往復でも行きと帰りの運賃が違ったりします。航空券のようにきっぷの価格変動があります。
、定刻通りにドロホブィチを発車します。同じ車両の乗客は10人程度でほとんど空気を運んでいる状態です。
ドロホブィチを出ると小麦畑が広がっています。まだ実は成っておりませんが秋になればヨーロッパの穀倉地帯とも呼ばれる黄金色の小麦畑が広がります。
、リヴィウ駅に到着です。リヴィウ駅では大勢の乗客が待っておりガラガラだった列車が一気に混雑していきます。
無事に鉄道でリヴィウからドロホブィチの往復ができました。
駅前からトラムに乗車して旧市街へ戻ります。
リヴィウ市庁舎で下車してホステルへ戻ります。
夜に30日のウクライナ出国までの予定を組みますが、25日から27日の金土日はウクライナの連休でリヴィウやキエフの安宿がほぼ全滅になっていました。宿泊しているホステルも聞いてみたら週末は満室ということで、急いで残っている所を予約して何とかゲストハウスを確保します。ウクライナの休日も確認しておかないと大変です。
これに合わせて鉄道のきっぷもインターネットでオンライン予約しておきます。ウクライナの鉄道はオンライン予約できっぷが確保できますので非常に助かります。決済はカンボジアのABA BANKのVISAデビットカードで支払います。先日、ジョージアンエアウェイズのキエフからトビリシの航空券予約ではABA BANKのVISAデビットカードがダメだったのですが、今回は問題なく決済できました。
これで寝る場所と交通手段を確保しましたのであとは天気が良いことを期待するだけです。
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
食費 | 45.5フリヴニャ | – |
交通費 | 8フリヴニャ | トラム |
交通費 | 67.82フリヴニャ | 鉄道 3等寝台 リヴィウ(Lviv)→チェルニウツィー(Chernivtsi) 2.67ドル |
交通費 | 63.14フリヴニャ | 鉄道 3等寝台 チェルニウツィー(Chernivtsi)→リヴィウ(Lviv) 2.47ドル |
交通費 | 105.09フリヴニャ | 鉄道 3等寝台 リヴィウ(Lviv)→キエフ(Kyiv)4.12ドル |
聖ゲオルギオス聖堂 | 50フリヴニャ | 入場料30フリヴニャ 撮影料20フリヴニャ |
合計 | 339.55フリヴニャ | – |