カンボジアで銀行口座を開設してみました。カンボジアは観光客の外国人でも比較的簡単に銀行口座が開設ができて、預金金利が米ドル建ての1年定期で5%も付いてきます。今回はカンボジアでの銀行口座開設を紹介したいと思います。
カンボジアの通貨と銀行事情
通貨事情
まずは銀行口座開設の前にカンボジアの通貨や銀行事情について簡単に知っておく必要があります。
カンボジアでは米ドルとカンボジア通貨のリエルが流通しています。しかも、流通している大半はドルです。スーパーマーケット、コンビニやレストランなどでは値段表示はドルになっています。これは外国人が利用する店だけでなく地元のカンボジア人が利用するような値段表示のなかったり、リエルでの価格表示の食堂や商店でも普通にドルが使えるのです。
ここまでドル経済が深く浸透したカンボジアですが自国通貨のリエルにも出番はあります。例えばコンビニでミネラルウォーター1.5L 0.5ドルを購入します。1ドル紙幣で支払うと50セントのお釣りですがお釣りはリエルで返ってきます。リエルは1ドル未満の補助通貨の役割をしているのです。ちなみに100リエル未満のお釣りは切り捨てにされていますし、ドルのお釣りがない時は全額リエルで返ってくる場合もあります。
補助通貨扱いのリエルですが、もちろんコンビニやスーパーマーケットでもリエルで支払うこともできます。コンビニやスーパーマーケットのレジはドルとリエルで会計金額が表示されています。ドルとリエルのレートはお店によって違いますが、2017年5月現在は1ドル=4050リエル前後で計算している店が多いです。
銀行事情
人口1500万人のカンボジアには商業銀行が36行もありますが預金量シェアは上位5社で56.99%、上位10社で78.6%のシェアを占めている状態です。カンボジアに深く浸透したドル経済ですので銀行取引もドル取引が基本になります。ドル預金とリエル預金はどの銀行でもできますし、銀行によってはタイ・バーツなどでの預金もできたりします。
カンボジアでの預金利率ですが高金利なのが特徴です。2017年5月時点でアメリカの政策金利が1%なのですが、カンボジアの銀行では1年の定期預金ドル口座で5%前後の利息が付いています。普通預金でも0.75%前後の金利になります。日本では普通預金の金利が0.001%、1年の定期預金でも0.01%といった状況ですから、カンボジアの預金金利は信じられないくらい高いです。
なぜ、アメリカの政策金利よりもカンボジアのドル預金金利が高いのでしょうか?それはカントリー・リスクによるプレミアムが上乗せされているからです。人口1500万人で市場規模がそれほど大きくない、経常収支は慢性的な赤字のカンボジアで経済危機が発生すれば銀行倒産は避けられません。
カンボジアの金融機関は信用力に劣るため国際金融市場からの資金調達は困難な状態です。資金を借りられたとしても高金利での調達になってしまいます。これは日本の金融機関がバブル崩壊後に国際金融市場で資金調達を行った時に金利が上乗せされたジャパンプレミアムに近い状態になりカンボジアプレミアムで金利上乗せが発生します。
国際金融市場で資金調達ができませんので預金金利を上げてカンボジア国内で資金調達するしかありません。しかし、カンボジア人から預金を集めるだけでは足りませんし、そもそも銀行口座を持っているカンボジア人が少ないのです。
そこで目を付けられたのは外国人です。カンボジアは金融規制が先進国と比較すると非常に緩く外国人でもパスポートだけで銀行口座が開設できたりします。外国人にとってはパスポートだけで簡単に口座開設が出来たりしますし、何と言っても高金利のドル預金が魅力的です。高金利でドル預金ができるのが一番の魅力ですので、お金持ちの観光客がアンコールワットを観光したついでに銀行で口座開設なんてこともできます。
他にも国によってはカンボジアと租税条約を結んでいないので、知られては都合の悪い資金を租税回避地として利用したりもします。2017年5月1日現在、日本もカンボジアと租税条約を結んでいないので、租税回避目的で預金している人もいるかもしれません。
ただし、マネーロンダリングの温床になる懸念もあり外国人の口座開設は条件が年々厳しくなる傾向にあります。それでも口座開設の条件は銀行によって違い、カンボジアの銀行業界全体で足並みをそろえるといった所までにはなっておりません。
以上が、簡単なカンボジアの通貨と銀行事情でした。
参考記事