海外旅行で重要なのがインターネットへの接続。Wi-Fiスポットなどの利用で何とかなる場合もありますが、空港で現地のプリペイドSIMを購入するのが一番無難ですね。台湾でも空港に通信事業者のカウンターがあるのでパスポートと現金さえあれば簡単に購入できます。しかし、1ヶ月以上台湾に滞在する人は空港での購入はおすすめしません。理由は後述しますが、今回は空港でなく街中のショップでのSIMカード購入を紹介したいと思います。
SIMカード購入の前に台湾の携帯電話事情について簡単に触れておきます。
台湾の携帯電話加入者件数
人口が2334万5969人(2020年1月31日現在)の台湾では5つの携帯電話事業者が激しい競争を繰り広げています。2020年1月現在の4G LTEの加入者件数は2917万8653件となり台湾の人口を上回っており市場は飽和状態となっています。下記表は2020年1月現在の4G LTEの加入者件数になります。
中華電信 (Chunghwa Telecom) |
台灣大哥大 (Taiwan Mobile) |
遠傳電信 (FarEasTone) |
台灣之星 (Taiwan Star Telecom) |
亞太電信 (Asia Pacific Telecom) |
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4G LTE加入者件数 | 10652442 | 7088120 | 7083689 | 2322449 | 2031953 |
出典
行動寬頻業務用戶數統計
台湾の移動体通信事業者について
上述の表から台湾では国民1人に1台以上の割合で携帯電話、スマートフォンが普及していると言っても良いくらいの状態ですが、競争を繰り広げている5つの携帯電話事業者について簡単に説明しておきます。
中華電信(Chunghwa Telecom)
台湾最大の通信事業者、日本で例えるならNTTに相当する企業。4G LTEの加入者件数は約1065万件、台湾で36.5%のシェアを持ち台湾第1位の携帯電話事業者です。1996年設立だが前身は交通部電信總局で官営から民間企業に変わっている。日本で言うなら電電公社からNTT民営化に相当。民営化後も大株主に台湾政府が名を連ねております。2014年5月より台湾で最初に4G LTEサービスを開始。4G LTEとW-CDMAを展開中。
台湾大哥大(Taiwan Mobile)
4G LTEの加入者件数は約708万件、台湾で24.3%のシェアを持ち台湾第2位の携帯電話事業者です。1997年設立、2014年6月より4G LTEサービス開始。台湾大哥大は台北富邦商業銀行などを持つ金融グループを中心とする富邦集團(Fubon Group)の傘下企業でもあります。4G LTEとW-CDMAを展開中。
遠傳電信(FarEasTone)
4G LTEの加入者件数は約708万件、台湾で24.3%のシェアを持ち台湾第3位の携帯電話事業者です。第2位の台湾大哥大との4G LTEの加入者件数の差は2020年1月現在で僅かに4431件と激戦を繰り広げています。1997年に遠東集團(Far Eastern Group)とアメリカのAT&Tにより設立されましたが、2019年現在は日本のNTTドコモが株主に名を連ねています。2014年6月より4G LTEサービス開始。4G LTEとW-CDMAを展開中。
台灣之星(Taiwan Star Telecom)
4G LTEの加入者件数は約232万件、台湾で8%のシェアを持ち台湾第4位の携帯電話事業者、T STARのブランド名で知られています。1999年に前身となる聯邦電信が設立、その後は威寶電信を経て、2013年に台灣之星となります。2014年8月より4G LTEサービス開始。4G LTEとW-CDMAを展開中。大株主は台湾の大手食品グループの頂新國際集團(Ting Hsin International Group)で、中国の大手食品企業「康師傅」の大株主としても知られています。
亞太電信(Asia Pacific Telecom)
4G LTEの加入者件数は約203万件、台湾で7%のシェアを持ち台湾第5位の携帯電話事業者です。2000年に前身となる東森寬頻電信が設立され、2003年に3GのCDMA2000のサービス提供開始、2014年12月より4G LTEサービス開始。3GのCDMA2000は2017年にサービス終了済みで台湾で最も早く3Gサービスを終了しています。2014年に鴻海科技集團(Foxconn)が大株主となっています。鴻海科技集團(Foxconn)はApple社iPhoneの受託生産でも知られています。
空港で販売されているSIMは有効期限固定なので注意が必要
台湾の空港で販売されている旅行者向けのSIMカードはインターネット使い放題で3日、7日、30日などのプランがありますが、1ヶ月以上台湾に滞在する人や同じSIMカードのままで台湾を1年に数回訪れたりする人にはおすすめしません。
その理由は、例えば空港で7日間有効のSIMカードを購入したとします。7日の有効期限内なら残高のリチャージができますが有効期限は延びないので7日のままです。7日を過ぎたら契約終了でSIMカードは使用不可になります。当然ながら延長や契約プラン変更も出来ない完全な使い捨てのSIMカードなのです。
これは2017年に國家通訊傳播委員會(NCC)から出された通達によるもので、犯罪防止に外国人向けの空港販売のSIMカードは延長不可の使い捨て型になっています。30日以内の滞在でインターネット使い放題で充分、日本帰国後は使わないという人は空港販売のSIMカードでも良いでしょう。
私の場合は「契約期間が長い」「料金が安い」という条件なので空港販売のSIMカードでなく、街中の販売店で通常のSIMカードを契約しました。通常のSIMカードだと有効期限が180日ありリチャージすれば有効期限も延びますしプラン変更も可能です。選んだ携帯電話事業者は台湾第2位の台湾大哥大(Taiwan Mobile)です。選んだ理由が名前が「台湾モバイル」で呼びやすいという単純な理由です。台湾第1位の中華電信(Chunghwa Telecom)は、「中華」とあるので日本だと中国の通信業者と間違えられる確率が高そうなので避けました。
台中で台湾大哥大(Taiwan Mobile)のSIMカードを契約する
今回は台湾中部の台中で台湾大哥大のSIMカードを購入しました。台中市内にはいくつかショップがありますが、今回は台中駅から徒歩10分ほどの市中心部にある直営店の台灣大哥大 台中自由服務中心を利用しました。SIMカードの契約に必要なものはパスポート、SIMフリーのスマートフォンです。
開店直後に店内に入ると既に先客がいましたので発券機で番号札を受け取り待ちます。5分ほど待つと順番が来ましたので店員さんにSIMカードを購入したいことを伝えると、契約プランの表を見せてくれますが、旅行者用の空港販売のSIMカードのプラン一覧表でした。これだと有効期限の延長ができませんので長期滞在者や頻繁に台湾を訪れる人には向きません。
そこで店員さんにスマホに保存しておいた通常のプリペイドプラン一覧表を見せて一番安いプラン「300型」があるか聞いてみたら、通常のプリペイドプラン一覧表を見せてくれました。店のプラン一覧表にも「300型」があります。この「300型」は通話とインターネットが出来て、通話100台湾ドル、データ通信60日2.4GBで300台湾ドルになります。今回はこの「300型」を契約します。
手続きに必要な書類は2種類で、1つ目がパスポート、2つ目は台湾移民署発行の入境証、ビザ、観光証や国際学生証です。必要な書類は2つなのですが実際はパスポートだけで大丈夫でした。パスポートの写真欄と台湾の入国スタンプのコピーを取り、姓名とパスポート番号を端末に入力、カメラで写真撮影をして、複数の電話番号から気に入った番号を選択します。環境保護のために紙の契約書は発行されず端末の画面に表示され、内容を確認して間違えがなければ、タッチパネル画面に署名して契約完了です。
店員さんがSIMカードの動作確認をしてくれますので、予めSIMフリーのスマートフォンは言語表示を繁体字中国語にしておきます。日本語表示OKな店員さんは滅多にいないと思いますので中国語が駄目な人は最低限で英語表示にしておきます。店員さんがSIMフリーのスマートフォンに台湾大哥大のSIMカードをセットして起動させます。起動するとすぐに電波を拾いAPN設定は不必要で、そのままでインターネットはGoogleやYahoo!が閲覧できました。SIMカードの手続きから動作確認まで15分ほどでした。
台湾大哥大(Taiwan Mobile)のSIMカード残高・有効期限の確認方法
SIMカードを契約して使っていると残高や有効期限が気になってきたりすることがあります。そんな時に残高と有効期限を確認する方法は2種類あります。1つ目は「電話して確認」、2つ目は「WEBで確認」です。
電話してSIMカード残高・有効期限を確認する
電話して確認すると言っても音声ガイダンスで確認するだけです。但し、台湾大哥大は中国語と英語のガイダンスで日本語ガイダンスはありません。
中国語での残高・有効期限確認方法
867に音声発信する
ガイダンスが流れたら、[1]で残高・有効期限を選択
残高・有効期限が自動音声で通知される
英語での残高・有効期限確認方法
これはUSSDコードを使った残高・有効期限の確認方法になり一番簡単です。
*867#に音声発信する
画面に残高と有効期限が表示されます。
WEBでSIMカード残高・有効期限を確認する
WEBでの残高確認は最初に台湾大哥大(Taiwan Mobile)のオンライン会員に登録する必要があります。
台湾大哥大(Taiwan Mobile)のオンライン会員に登録する
台湾大哥大のWEBサイトにアクセスして「登入/註冊」をクリックします。
ログイン画面になりますので少し下に表示されている「我是台灣大哥大用戶」をクリックします。
契約したSIMカードの電話番号とパスポート番号を入力、利用規約のチェックボックスにチェックして「下一步,驗證手機門號」をクリックします。
スマートフォンに確認コードが送信されてきますので、確認コードを入力します。
ユーザー登録が完了したので「登入」をクリックします。
ログイン画面になったら、電話番号とパスワード(初期設定はパスポート番号)を入力して「登入」をクリックします。
初期設定のパスワード(パスポート番号)と新パスワードを入力して「下一步,驗證手機門號」をクリックします。
スマートフォンに確認コードが送信されてきます。
確認コードを入力して「按此完成變更密碼」をクリックします。
スマートフォンにパスワード変更完了のメッセージが送信されてきます。
パスワードの変更が完了しましたので「登入」をクリックします。
台湾大哥大(Taiwan Mobile)のWEBでSIMカード残高・有効期限を確認する
ログイン画面になったら、電話番号とパスワードを入力して「登入」をクリックします。
ログイン状態に変わっていますので電話番号が表示されている部分をクリックします。
有効期限と残高が表示されます。詳細を知りたい場合は有効期限と残高の部分をクリックします。
有効期限と残高だけでなく、データ通信の残量など詳細が表示されます。
長くなりましたが以上「台湾の街中でSIMカードを購入する-台湾大哥大(Taiwan Mobile)編」でした。