にマレーシア・クアラルンプール国際空港を舞台として世界を震撼させた事件。北朝鮮の最高指導者である金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男の暗殺事件です。この事件では化学兵器にも使用される猛毒のVXで襲撃され金正男は殺害されます。
スパイ映画さながらの前代未聞の事態に北朝鮮とマレーシアの緊張が高まりますが、北朝鮮にいるマレーシア大使館職員が帰国できない事態となり事実上人質を取られたマレーシア政府は北朝鮮国籍の容疑者や重要参考人を釈放し事実上の人質交換、実行犯として残ったインドネシア国籍のシティ・アイシャ(25)とベトナム国籍のドアン・ティ・フォン(29)の2人の女性のみで裁判が開始されました。
今回は、この前代未聞の暗殺事件の舞台となったクアラルンプール国際空港のKLIA2を訪れて一体どのような場所で襲撃されたのかを確認したいと思います。
暗殺事件の舞台はLCC専用ターミナル
事件現場となったクアラルンプール国際空港はメインターミナルのKLIAとLCC専用の第2ターミナルのKLIA2の2つの旅客ターミナルがあります。事件が起きたのは格安航空会社(LCC)発着用に建てられたKLIA2です。KLIA2の発着便の90%以上はエアアジアの便が占めており事件当日に金正男が利用しようとした便もマカオ行きのエアアジアでした。
金正男がLCCを利用していたというのに意外性を持つ人がいるかもしれませんが、これはクアラルンプールからマカオへの直行便だとエアアジアしかなかったからです。香港行きでしたら複数の航空会社で運行されていますが、マカオ行きではエアアジアのみの選択肢になります。
ここがターミナルの3階出発フロアになります。監視カメラの映像には、白っぽいジャケットにジーンズ姿、右肩にリュックサックをかけて1人で空港に現れる金正男の姿が確認できます。この奥にあるエアアジアのチェックイン機が襲撃現場です。金正男は時刻表の下を通り奥にあるエアアジアのチェックイン機へ歩いていきます。
一番右端のチェックイン機で金正男がVXで襲撃されてます。事件当時、金正男はマカオへ出国するためにエアアジアのチェックイン機を操作していた所を背後から襲撃されています。
化学兵器にも使用される猛毒のVXを使った暗殺事件の現場ですが、空港利用客の人々はここが金正男暗殺事件の舞台となったとは知らない様子でエアアジアのチェックイン機を使っています。おそらく言われなければ誰もここが犯行現場だとは気づかないでしょう。
金正男は実行犯の2人の女性に襲撃された後に空港警備職員とともにクリニックに行っております。クリニックは2階到着フロアにあります。3階の出発フロアからは階段、エレベータ、エスカレータで2階到着フロアへ行け、2分もあれば3階から2階に降りられます。2階到着フロアは出迎えの人達で賑わうエリアで、到着フロアを横切ってトイレやATM、マッサージチェアのある奥へ行くとクリニックがあります。
こちらは2階到着フロアにある空港のクリニックです。金正男がVXで襲撃された後に空港警備職員とともに訪れておりガラス張りのクリニックの前を金正男は1度通り過ぎて戻ってきます。
金正男は自らの足でクリニックまで歩いていきましたが倒れ込んでしまいます。3つ並んでいるソファの左側が金正男がグッタリと倒れ込んでいた場所です。
クリニック内での様子は監視カメラでも捉えられており、ソファでぐったりとしている金正男の姿が確認できます。この後に病院へ搬送されますが搬送途中に死亡が確認されたとされます。
実際に犯行現場を見てみましたが、このような大勢の人が集まる場所で事件が起きたというのに驚きと言われなければここが事件現場だとは気づかないほど普通の場所であるということでした。